これから保育施設を選ぶ方に、必ず知っておいて欲しいこと

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保育者からの提言 2022.09.27

待機児童の増加が社会問題となり、「保活」とは「入れる保育施設を探すこと」だった時期もありましたが、現在は保育園が増え、少子化も重なり、「保育施設を選ぶこと」が「保活」の意味に変わりつつあります。0歳や1歳で子どもはもちろん、保護者も楽しみながら通える保育施設を選ぶことができれば、5〜6年は家族として幸せな時間を過ごすことができるので、とても大切な選択です。
子どもも保護者も幸せを感じられる保育施設を選ぶためには、どんなポイントに気をつけたら良いのでしょうか?日本を代表する幼児教育の研究者であり、保育施設事情にも詳しい玉川大学教授の大豆生田啓友先生にお話を伺いました。

保護者が保育施設を選ぶ時代に。

保育施設に入ることが難しい時代もありましたが、現在は少子化で子どもが少なくなり、さらに国が待機児童問題の解決に本腰を入れて保育施設が増えたおかげで、以前ほど保育施設に子どもを入れることは難しくなくなりました。保護者が施設を選べる時代になってきたと言えますが、保育施設の中には、保育所・幼稚園・認定こども園などがあり、さらに英語や読み書きなどの早期教育を謳ったり、サッカーやダンスなどの運動に力を入れていたり、施設によってさまざまな違いがあります。このような多種多様な保育施設の中から、どんなポイントで選べばよいのか、悩まれている保護者の方も多いと思います。

子どもにとって初めての集団生活の場であり、教育の場でもある保育施設を親が考えて選べる時代になったことは、とても喜ばしいことです。今回は、保育施設を選ぶときにぜひ知っておいてほしいとこをお話しますので、ぜひ参考にして、家族でじっくり考えるよい機会にしてください。

「利便性」「施設の環境」と共に「一人ひとりを見つめてくれる保育施設か否か」が重要

保育施設を選ぶときに、まず大切なことは「保護者にとっての一定の利便性」です。 どんなに素晴らしい施設でも、家から1時間もかかるのでは、毎日通うことはできません。家からの距離、アクセスのしやすさ、保育時間、持ち物など、数年間ほぼ毎日通い続ける場所ですから、保護者にとって負担になりすぎないところを選ぶ必要があります。

次に、「保育施設の環境」も確認したほうが良いですね。これは豪華な設備があるか否か、ではなく、子どもがやりたいことをできる環境かどうか、ということです。例えば、子どもが自分で取り出せる位置に、おもちゃなどの素材がある程度あれば、子どもの興味関心を満たすことができます。外の環境も、園庭がなくても安心して散歩したり、体を動かしたり、自然に触れ合えたりすると良いですね。子どもがワクワクする環境があれば、遊びが充実します。

そしてもうひとつ、「子ども視点で、一人ひとりの子どもを見つめてくれる保育施設」であることです。子どもがゴキゲンで保育施設に通うためには、自分のペースで過ごせることが必要です。制限が多く、周りに合わせなければいけないことばかりだと、子どもはつらくなり、無理がかかります。クラスという集団ではなく、一人ひとりの子どもに目を向ければ、その子のペースを守り、やりたいことをある程度満たすことができます。これは保育施設側にとっては手間がかかり、専門性が高く、難易度が高いことですが、これを満たしている保育施設は、子どもにとっては高い価値がある環境です。

保育者は、子どもの視点を持ち、子どもの気持ちを理解するプロ。

「子ども視点で、一人ひとりの子どもを見つめる」ことは、 保育者が持つ専門性です。保育者は、子どもの視点を持ち、子どもの気持ちを理解するプロです。単に遊びの知識が豊富で、子ども慣れしているだけではありません。だから、子どもがうまく言えなかったり、失敗してしまったりしても、それを否定しません。子どもの気持ちを考え、その行動を理解して、受け止めることができます。

子どもが失敗したとき、子どもを怒る人がいます。怒る人は、大人の視点で「〜であるべき」と考え、それに子どもがそぐわない行動をするから怒るのです。例えば「公共の場所では静かにするべき」「部屋は散らかさないべき」と考えるから、できないと怒るのです。ついつい、親も大人視点になりがちです。

しかし、保育者は、「◯◯ちゃんは、今日はできないこともありましたが、こんな気持ちですから大丈夫です。」と子ども視点で理解し、否定しません。「〇〇ちゃんはできないので、お家でできるようにしてください。」ではなくて、「今できないのは、◯◯ちゃんはこう思っているからなんですよ。」と言ってくれる保育者は、専門性が高いです。

そして、その育ちを親にしっかり届けてくれると、保育施設に通うことが親も楽しくなります。送り迎えで顔を直接会わせるときに伝えてもらうことはもちろんうれしいですが、お互いバタバタして話す余裕がないことも多いので、写真を使って連絡帳や子供の成長の記録で届けてくれると良いですね。親も子どもの育ちを感じられてうれしくなり、親がHappyだと、子どももHappyです。

保育者が見つめる視点が保護者に届くと、一緒に楽しく子育てできる。

子育てはとても大変なこと。保護者にとって仕事と子育ての両立のために保育施設は不可欠ですが、物理的なメリットだけではなく精神的にも預けることで、助けられる側面もあります。保護者と保育施設が一緒に子育てをすることで、保護者の負担は減りますし、一緒に育てたいと望んでいる保育者も多いです。保育者が親とは違う専門的な視点で子どもを見つめ、親にその視点を届けてくれると、肩の力が抜けて楽になることがたくさんあると思います。

保育施設で子どもが経験したことを家に持ち帰ると、親もワクワクします。一緒に家でやってみると楽しいですし、保育施設との関わりを感じられることでしょう。お友だちとの関わりに関する育ちを保育施設が届けてくれれば、保護者同士のつながりも強くなります。これらは子どもがいないとできない経験で、幸せってこういうことだと感じるシーンが増えていきます。

子どもの育ちを一緒に見つめる保育施設に巡り会って欲しい。

未就学児の学びは、「小学校の集団教育で困らないように」と考えがちです。また、特別な施設があったり、習い事が経験できたり、そんなスペシャルなポイントに目が向くこともあるかもしれません。それももちろん大切なことですが、子どもがやりたいことをやれて、一人ひとりに目を向ける保育がある、そんな根っこの部分を大切にして保育施設を選んでほしいと思います。

「保活」で保育施設を選ぶと、0歳や1歳で入ると56年は同じ場所に通うことになります。これだけの長い期間、子どもも親もHappyでいられる保育施設に入ることができれば、こんな贅沢なことはありません。この「ルクミー 園探し」を訪れた家族の皆さんが、子どもの育ちを一緒に見つめ、喜び、家族としての幸せを感じられる保育施設に巡り会えることを願っています。


<「ルクミー 園探し」編集スタッフより>

「ルクミー 園探し」は、保護者の皆さまが、子どもの育ちを一緒に見つめられる保育施設を選ぶお手伝いをするために生まれたWeb メディアです。そのために「エリア」や「保育時間」といったスペック情報以外にも、「リアルな日常の保育」が分かるよう、保育者の視点で子どもの一人一人の成長を切り取った「ストーリー」を掲載しています。

ストーリーを見ることで、その保育施設(保育者)がどのように子ども一人一人と向きあっているかを知るヒントになるかもしれません。まずは文部科学省が発表している「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」の切り口から、日常の保育をご覧になってみては如何でしょうか。(そして宜しければ是非、「園見学の予約」を行い、実際に確かめてみて下さい)

「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」から探すストーリー

  1. 健康な心と体
  2. 自立心
  3. 協同性
  4. 道徳性・規範意識の芽生え
  5. 社会生活との関わり
  6. 思考力の芽生え
  7. 自然との関わり・生命尊重
  8. 数量・図形、文字等への関心・感覚
  9. 言葉による伝え合い
  10. 豊かな感性と表現

「ルクミー 園探し」はこれから保育施設を探す保護者の皆様が、掛けがえのない幼少期の子どもとの時間を、よりHappyに過ごすことができる保育施設と出会えることを願っています。

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